虹の都へ
半分どころじゃなくて、ほとんど強制的だったじゃん。

けど、何だか知らないけど言いたくなかった。

あたしはポケットに手を入れると、名刺入れを出した。

忘れ物を渡すために、本人を待ってるだけなのに。

それをフツーに言えなかったあたしは、何をしているんだか。

とりあえず、今は森藤さんを待たなきゃ。

後で柊くんには事情を説明して、謝ろう。

そう思った時、
「すみません」

後ろから声をかけられた。

振り返ると、昨日店にきたビジネスマン。

森藤さん本人だ。

やっぱり、イケメンよりも“美人”がこの人には正しいよね。
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