キスミー★チョコレート
「なんだ、なんだ!しっかりしろよな“逆チョコの女王”さまっ!」
熊ちゃんがそう言うと女子の皆がドッと笑った。
男子はぼーっと熊ちゃんを見る人、チラチラあたしを見る人。
だいたい半々くらいだった。
あたしは毎年この日になると“逆チョコの女王”になってしまう。
男子からチョコを貰う、
言うなれば【あべこべバレンタイン】
それに君臨する女子、
それこそが
“逆チョコの女王”
…いや、ネーミングセンスないでしょ。
「女王」っていう音の響きが絵本くらいでしか聞いたことないからかな?
その単語が異質感をさらに呼びつける。
…とにかく、
そんな可愛げのない女王なんてイヤだぁー!!
だあーだぁーダァー…‥
心の中でエコーを無駄にかけて…虚しさが増した。
「しかしお前、よく太んないよな。体質?」
そんなあたしを無視して、森のくまさんは尚も噛み付いてきた。
「違うよ。あたし…チョコ食べれないんです。」