キスミー★チョコレート


慎重に記憶の糸を手繰っていくあたし。


落とした拍子にラッピングからはみ出た、


おそらく手作りであろうチョコ達の香りが、


ふわりと鼻をくすぐる。


その香りが引き金になったのか、


あたしの脳ミソの回転の良さなのか、


白い靄が一気に消し飛び、鮮やかに、唐突に、記憶と彼が一致した。


「…りっくん!?」


あたしは恐る恐る、それでいて確信をもって聞いた。

その反応に満足したように、


彼は優しく頬笑んだ。



「ははっ、焦ったぁ。俺の勘違いかと思った!」



あの、はにかみ方…


記憶の中のりっくんと同じ、紛れもなく、


本物のりっくんだ。


りっくんが、帰って来たんだ…!



鼓膜が破けそうなくらい心臓がばくばく鳴る。


頬に体温がじわじわと迫ってくる。


あたし今、


どんな顔してる?








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