ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 コーヒーをこぼした私に、新しいのを買ってくれたよね?
 覚えていますか?
 あれは、もう気付いていると思うけど、あなたに近付く為にそうしろと言われたんです。
 確信犯です、ごめんなさい。
 でもあの時、ぶっきら棒なあなたの優しさに、私は恋をしてしまいました。

 内心では、私なんかにあなたが振り向いてくれる訳ないって思ってました。
 でも龍一さんや理沙さんが、絶対大丈夫って、根拠もなく励ましてくれるから、私はあなたがあの花屋へ来るのを、毎日待ち焦がれていました。

 初めて花束をプレゼントしてくれた日。
 電話で呼ばれて足早に立ち去ろうとするあなたを引きとめ、思わず私、手話で思いを伝えてしまいました。慌てて理沙さんが『ありがとう』って間違った通訳してくれたんですけど、あの手話、実は『好き』って意味なんです。あの後、理沙さんに怒られました。まだ早いって。

 こんな話、どうでもいいですよね。

 本当に伝えたい事はたった一言なのに、長々と言い訳してすみません。




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