現実RPG2
それより、ここは大丈夫なのだろうか。


ボーンたちに見つかったら、まさに袋の鼠だ。


三階だから、飛び降りることもできない。


「あの、カーテン……閉めてもいいですか」


ボソッと呟く拓馬。


「え?いいけど……なぜ、カーテンを?」


「ちょっと、追われてて……」


「そりゃ、大変だ」


慌ててカーテンを閉める竜太。


本当にいい人だ。わけも聞かないで、全面的に拓馬に協力してくれる。こんな、不審者のような拓馬に……


……え?不審者?


待てよ。おかしくないか。


俺は、包丁を片手に怯えていた。


これを、一般人が見たらどう思うだろうか。どう考えても、不審者だ。


それを、何も聞かずに、家に避難させた。


……待て。避難って、何だ。


確かに、竜太は『とりあえずここに避難しろ』と言った。


どうしてわかる?たったあの状況を見ただけで、どうして俺がピンチだとわかったんだ。


ピンチだと判断するには、もう少し情報が必要なはずだ。


しかし、竜太は情報を持っていなかった。


なぜなら、拓馬に「一体どういう状況なんだ」と問いかけたからだ。


つまり、何も知らない。何も知らないで、包丁を持った不審者を家に匿るだろうか。


いや、そんなことはしない。普通の人なら。


つまり、竜太は普通の人ではない。


だとしたら、ゲーム側の用意した味方か、それとも……


敵か。
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