現実RPG2
ルイは賛同すると、一足先に歩き出した拓馬に続いた。


「何か……あっさりした戦闘だったな」


拓馬に言うわけでもなく、ルイは呟いた。


「そうか?ギリギリだったじゃねぇか」


確かに、拓馬が言うようにギリギリ……いや、負けていた。


もしも、あのとき、トドメをさされていたら……。


しかし、ルカは俺にトドメをしなかった。


一発斬ったら、拓馬へと矛先を向けた。


あの様子では、俺が薬草を使わなければルカは拓馬を殺していただろう。


さっきのルカに、理性があるとは思えなかった。


だとしたら、本能的に、ルイを瀕死にして殺さず、拓馬だけを殺そうとしていたことになる。


いや、そうじゃない……ルカは、本能的に負ける気だった。


殺される気だった。


しかし、瀕死にされて殺されなかった。


死ぬ気だったルカは生かされて、気が動転してうつ伏せのまま、あの放心状態……。


なぜ……?何で、負ける気だったんだ?


アイツは、組織の人間だ。俺たちに負けて、何の得もない。


考え過ぎか……?


「それよりルイ、あとどれくらいなんだ?」


「あぁ、もうすぐだ」


さっきの戦闘で、思ったよりも疲れてしまった。


集中力が持つのか心配だ……。


「拓馬。マーダーを倒しさえすれば、とりあえずゲームクリアだ。ここまで、気を抜かずに行こう」


「わかってるよ、そのつもりだ」
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