現実RPG2
「マーダーは魔獣。魔獣は、特性を持ってる」


「特性?」


「ああ。マーダーの場合、相手の心を読む」


「え……」


拓馬の表情が絶望に変わった。


それを見て、ルイも改めて強敵と戦うことを認識する。


「漫画などでよくあるやつだ。相手の次の攻撃がわかるんだ」


「へぇ。じゃあ、何も考えずに攻撃しろってことか?」


その拓馬の声は、震えていた。


「いや、そんなことは現実に不可能だ。攻撃と言うのは、必ず考えなければならない。息をするのとはわけが違う。無意識に攻撃はできない」


「じゃあ、どうすんだよ?」


「一瞬でケリをつける。避けられない範囲の魔法を撃つ」


「なるほど……それが、お前の新しい魔法ってわけか」


「ああ、そうだ」


「それなら、俺のホーリーレインも役に立つかな?」


「いや、ダメだ。ホーリーレインは無数の光の雨。雨と言うくらいだから、必ず隙間がある」


「隙間って……ほんの数ミリじゃ……」


「その数ミリでも、隙間があれば避けるはずだ。俺の魔法は、その隙間がない。お前には、また敵の気を反らす係りをしてもらう」


「また滅多刺しかよ……」


「悪い、そんな役回りだが……クリアのためには、仕方ない」


「わかってるよ」
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