現実RPG2
マーダーの元へ、俺たちを行かせたくなかったわけ。


当たり前だ。実の母を殺しに行こうと言っていたのだから。


あのときの、あのルカの反応。


青ざめ、狂ったように感情的になり、最後には人形のような放心状態。


そして、思い出すルカの表情。


何か言いたそうに、必死に歯を食いしばっている様子。


おそらく、ルカは組織に服従していたわけではない。


使われていた。しかし、何か理由があって、真実を言えなかった。


……あった。理由が。マーダーだ。


ルカは、マーダー……つまり、母のために組織に仕えていた。


そう、まるで1章の俺のように。


ずっと監視されていたルカは、不振な行動ができなかった。


だから、俺たちに刃を向けた。


しかし、わざと負けた……兄を、殺せないから。


「ルカちゃんは、組織に監視されていた。俺は、お前の妹だって知ってたけど……知らないフリをした。向こうも、知らないフリをしてきた。おそらく、お前を動揺させないための組織の意向だろう」


じゃあ、ルカとの幼馴染の記憶……これが、偽りの記憶……。


なんてことだ……俺の記憶障害のせいで、一家がまるごと壊滅した。


俺の家族が……俺の!


「おぇっ……」


嘔吐した。胃液が全て出てくるまで、嘔吐し続けた。
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