現実RPG2
「フー、フー……」


だんだん呼吸が荒くなってくる。


また、急にどこかへ飛ばされる……


「おい!もうやらねぇ!聞いてんのか!」


部屋中に叫ぶ拓馬。どうしていいかわからない。


「嫌だ!嫌だ!」


叫ぶが、当然のように何の返事もない。


そのときだった。


全身の毛が、逆立つような恐怖が聞こえたのは……


ガシャ、ガシャ……


「……え?」


この音……確かに、聞き覚えがある。


「まさか、そんなはず……」


キョロキョロと辺りを見渡す。


どこにも飛ばされていない。家の中だ。それなのに……


「何でだよ……どうなってんだ!」


音がだんだん近づいてくる。


音は家の外の廊下を歩いて、拓馬の家の前で止まった。


「おい、ちょっと待てよ……」


ピンポーン。


インターホンが鳴る。その音に、拓馬の全身がビクッと反応する。


「……」


思わず、息を止める拓馬。気が狂いそうだ。


「まさか……そんなはず、ねぇよな……」


きっと、似た様な音がしただけだ。ここは、現実の世界。アイツが、ここにいるはずがねぇ。


それに、このマンションには、一階にロビーがある。ロビーのドアを開錠しないと、まずマンション内には入れない。


となると、アイツがここまで来れるはずがねぇ。


拓馬は玄関にゆっくりと近づくと、恐る恐るドアの穴から外側を確認した。


「うわあああ!」


両手で頭を押さえ、叫んだ。


いる。


ボーンが、すぐドアの外にいる。
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