現実RPG2
「わかってる。だけど、拓馬君はどうかな?自分を殺そうとした相手を、信用するかな?」


「……仕方ねぇよ。事情を説明して、信用されなければ……終わるだけだ」


「そうか……」


「まだ、時間はある。拓馬は、今のところ魔法は使わない可能性が高い」


「そうなのか?」


「ああ。一章で、俺が『魔法は充電しないと使えない』って吹き込んだ。それに、多分ライトニングしか使えない」


「どうしてそんなことが言えるんだ?」


「もし全ての記憶が残ってるなら、一章の最後、俺にホーリーレインを撃ったはずだ。それなのに、当たるかどうかもわからないライトニングを撃った。だとすると、記憶は少ししか戻っていないと考えていい」


しかし、なぜ突然、記憶が少し蘇ったのか。ルイには、それが不思議でならなかった。


そのときだった。何げなく窓の外を見ると、薄暗い闇の中に、人影が見える。犬を抱いているようだ。


あれは……拓馬!


そのとき、拓馬もこちらに気づいた。


マズイ……暗いところから明るいところは、思ったよりも見える。


「オヤジ!電気、消せ!早く!」


叫んだが、一歩遅かったようだ。


拓馬はビクッと体全身を反応させると、一目散に走り出した。


気づかれた!
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