現実RPG2
「くっ……」


明らかに目が泳いでいるルカ。


ルカの気持ちもわからなくはない……マーダーと戦うと、拓馬は重症を負うだろう。


そこに付け込み、ルイが裏切ってきたら成す術がない。それを警戒しているはずだ。


だが、方法はこれしかない。


「ルカ……通してくれねぇか?マーダーを倒せば、全てわかるんだ。心配なら、お前も俺たちと一緒に」


「もうやめて!」


拓馬の言葉に被さって、ルカが叫んだ。


「拓馬……まだわからないの……?マーダーの強さは並じゃない。戦ったら、まず殺される。ただでさえルイは強いのに、この上マーダーを解放されたらどうなるか……」


「それでも、俺は味方を倒したくないんだ。わかってくれ」


その拓馬の言葉に、目を真っ赤に充血させるルカ。


ぐっと歯を食いしばって、何かを堪えているような……我慢しているような、そんな感じだ。


何か、様子が変だ。


引っかかる、ルカの言葉。


……もうやめて?


何だ、その説明の仕方は。


普通、弁解ならこんな場合、「騙されるな」とかではないのか。


それを、もうやめて?まるで、自分に影響しているかのような言い草だ。


確かに、マーダーを解放するなら、ルカにも影響するが……。


俺がマーダーと言ったときから、ルカは明らかに平常心を失っている。


そこまで強大なモンスターだと言うことか……?
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