グレスト王国物語
「今、グレストはあちこちが天災に見舞われてる。」

「はい。知ってます。」

「女神の涙を5つ揃えれば、大女神グレスティアが復活し、グレストの危機を救うことは?」

昼間リヴェルに読ませてもらったグレスト王国の伝説に、確かそんなことが書いてあった気がする。

グレストが危機に陥る時
我は汝に力を貸そう

だか何だか。

「あー…昼間にそんな感じの伝説は見ましたね。」

「そうか。じゃあ話は早え。要するに、そう言うことだ。」

「私たちがこんなに必死になって女神の涙を集めている理由が、ですか?」

「そう。」

「それだけ?」

まさか。

災害は、起こる時は起こってしまうものではないのか。

神の怒りがどうとか、そういう話なのだろうか。

伝説なんて、正直あまり信じる気にはなれなかった。

この前も今回も、女神と呼ばれる人たちは、普通に人間の中で、ほとんど人間として暮らしていた。

その人たちのいわゆるリーダーを仮に目覚めさせたとして、

その彼女に災害を止めるなんて神がかったことができるなどとは、あまり思えなかった。

ああ。

もう休みたい。

首都グレストにある安アパートに帰りたい。
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