グレスト王国物語
***
おめでとう。
と言う言葉で、この状況を形容されるのは、何となく気分が悪かった。
壁に吊された部下、シルヴァの透き通るように白い裸体は、欲情を煽ることなどなく、
むしろその光景は、あの雨の日の忌まわしい思い出を蘇らせた。
ブラッドは、固く唇を結んだ。
「ブライト、こんなことしてる場合じゃねえ。雨にうたれて肉が腐った連中が、大勢…」
「どうしたブラッド。今さら怖気づいたのか?
シルヴァの身体を使って、妹を甦らせることに…。」
沈黙。
「─違う。…違う…ただ、お前も見ただろ?このままでは、グレストは滅んじまう。」
そう言うと、ブライトはせせら笑った。
「やはり、最後の涙を私が回収に行って良かった。
お前じゃ、シルヴァを連れて来るどころか、女神フレイアの牙の餌食になっていただろうな。」
「ブライト、」
「いい加減にしろ、ブラッド。
一体私たちが、何のために長い年月をかけて女神の涙の在処を探し、わざわざ回収に出かけ、翻弄したと思う?
…思い出せよ、ブラッド。
お前は妹を生き返らせる。
私はグレスティアと契約し、グレストを安泰へ導く。
そのためだろう?ん?
確かに私は、人々に平和をもたらそうと誓った。だがな、それは今じゃあない…」
おめでとう。
と言う言葉で、この状況を形容されるのは、何となく気分が悪かった。
壁に吊された部下、シルヴァの透き通るように白い裸体は、欲情を煽ることなどなく、
むしろその光景は、あの雨の日の忌まわしい思い出を蘇らせた。
ブラッドは、固く唇を結んだ。
「ブライト、こんなことしてる場合じゃねえ。雨にうたれて肉が腐った連中が、大勢…」
「どうしたブラッド。今さら怖気づいたのか?
シルヴァの身体を使って、妹を甦らせることに…。」
沈黙。
「─違う。…違う…ただ、お前も見ただろ?このままでは、グレストは滅んじまう。」
そう言うと、ブライトはせせら笑った。
「やはり、最後の涙を私が回収に行って良かった。
お前じゃ、シルヴァを連れて来るどころか、女神フレイアの牙の餌食になっていただろうな。」
「ブライト、」
「いい加減にしろ、ブラッド。
一体私たちが、何のために長い年月をかけて女神の涙の在処を探し、わざわざ回収に出かけ、翻弄したと思う?
…思い出せよ、ブラッド。
お前は妹を生き返らせる。
私はグレスティアと契約し、グレストを安泰へ導く。
そのためだろう?ん?
確かに私は、人々に平和をもたらそうと誓った。だがな、それは今じゃあない…」