図書室
「……どうしたの沙希ちゃん。怖い顔なってるよ」
「アンタが変だからよ」
「……いつも通り外を眺めていただけだけど」
ちがーう、と沙希ちゃんはさらに眉間のしわを深くする。
何が違うんだろう、と頭に沢山の?を抱えて考えていると、先生が教室に入ってきた。
「これ終わったら席で待ってなさいよ」
沙希ちゃんはそう言うと自分の席に戻って行った。
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HRが終わると先生が堀内、と言ってプリントを渡してきた。見ると図書委員会のプリントだった。
「真奈美!!」
振り向くと沙希ちゃんが立っていて、さっきの話の続き、と言って机の前に回って座った。
「沙希ちゃん、あたし、そんなにおかしい?」
「おかしい」
…キッパリだ。
「いつも以上にホケーとしてるし、話しかけても反応遅いし」
そうかな、と思いながら聞いていると
「アンタ、好きな人出来たでしょ」
「…へ?」
「気になる人。いるんじゃないの?」
沙希ちゃんは小さい子供に話しかけるように聞いてきた。
そう言われてふと頭に出てきたのは、図書室の出来事だった。
木下楓、という先輩。
私より1学年上の人。
肩に触れるくらいの長髪に、目が隠れるほど伸びた前髪が印象的だった。
「印象…に、残っている、人は…」
しどろもどろしながら言うと沙希ちゃんはやっぱりな、と腕組みをした。
「あたしはすぐにわかったのよ。でも、アンタが話すまで待ってたんだけど、気づいてなかったから」
はい。言われるまでちっとも気づきませんでした。
「でも、そんなに行動に出てた?」
「出過ぎよ!!他人だってわかるわ!!」
そこまでか、と内心驚きながらも行動に出やすいのか、と冷静に考えている自分がいた。