【バーチャルメーカー★博士と助手のとんだ1日】


『はい…その…最後まで…』

『なんじゃと?』

『さい…ご…まで…ですが…』

消え入りそうな声でサムが
応える‥

『ハア~。仕方あるまい…。』

博士は深~い溜め息をつくと
目を瞑り、うつ向きながら
頭(かぶり)を振った。

装置に因って引き起こされた
現象は、研究室だけでは無く、
近隣の半径数百マイルにまで
同等の影響を及ぼす。

さっき降っていた雨も
先ほど博士が選んだCDからの
影響であった。

博士が装置に触るなと
言ったのは、破損を恐れて
いただけではない。

さっきの雨は、博士が
1コーラス程度で装置を
停止させた為に直ぐに
消えた。

どうやら再生させた長さに
よって事象が続く長さも
変わって来るらしい。

つまり、よほど選んで
かけなければ、とんでもない
事になると言う事だ!

それを今回、サミュエルが
身を持って実証した訳だ。

『博士!これは…一体
いつまで続くんでしょう?』

申し訳なさそうにサミュエルが
聞く‥

博士は眉間の皺を摘まんで
うつ向いたままだ。

『あの…博士?』

『サム、頭痛がして来たよ…。

…1週間だっ!』

どうやらこのままでは
1週間もゾンビが徘徊した
ままになるらしい…。


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