angel or devil

夜に咲く花




麻奈と優夜くんは二人だけの世界に入り、一人で暇を持て余したあたしが入る隙などない。


あたしは場を持たすようにまた携帯を取り出した。






コツ……コツ……コツ……


あたしは携帯を見つめながらも、背後からゆっくりと近付く靴音に耳をすませた。


騒がしい店内の雑音の中、何故かあたしの耳には靴音が鮮明に聞こえる――




コツ……


靴音はあたしの横で止まった。



「ご指名ありがとうございます。夜咲直です。」



その声にあたしの鼓動は早くなり、携帯から声の方にゆっくりと視線をうつすと

視線の先には床に跪いて深々と頭を下げる男



ゆっくりと顔を上げる男の視線とあたしの視線がぶつかった―――




「夜咲…直……」




まるでそこだけスポットライトが当たっているかのように眩しく輝き、あたしの視界を占領する美しい男の顔。





緩くパーマのかかったアッシュブラウンの髪

美しい女性のようで、何故か男らしい顔立ち

大きくどこか鋭い、髪と同じ色をした瞳



あたしはその瞳に一瞬で吸い込まれる――





なんて美しい顔…………




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