street love
「ど、どうしたの?」


少しの間、黙った響の一言。


「好きだ…」

「え…」

「俺やっぱり…美波ちゃんの事が好きだよ。こんな気持ちは初めてなんだ…」

「………」


戸惑いで答える事が出来ない。


「俺の恋人になって欲しい」


一端離れてから
響は美波の顔を真剣な眼差しで見つめて思いを告げる。

けれど美波は迷いがあった。

有野の事、自分の中では決着をつけているはずだが相手が
今だに納得してくれないので
心のどこかで
引っ掛かっているのだ。



「でも、私は…」

「俺の事……好きじゃない?」

「そんなんじゃなくて、彼とまだちゃんと別れていないから、こんな中途半端な気持ちじゃ返事が出来ないの」

「俺は待つよ」

「あの…だから返事は、もう少し時間を下さい。じゃな…い…と私………」


美波は少しだけ
涙目になっていた。

その事に
気付いた響はそれ以上何も言わず美波を駅まで送ってくれた。
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