ミッドナイト・スクール
「ウアアア」
「ググアア」
体育館に入り込んだゾンビたちは散り散りに歩きだした。
冴子に文彦が襲いかかった。
「許せ、文彦」
肘打ち、裏拳、飛び回し蹴り。冴子の素早い連携技が決まり、吹き飛んだ文彦は置いてあった灯油を被ってしまい、たちまち火だるまとなった。
「ウアアアア」
二体のゾンビが魅奈と信二に襲いかかる。
「きゃあああ!」
魅奈の悲鳴と共に、一体が吹き飛んだ。
「えっ? えっ?」
困惑する魅奈の手前で、もう一体のゾンビも吹き飛ぶ。
「信二君、とどめを!」
ステージ上からユリが狙い撃ちしたのだ。
「わ、わかった」
信二は、用意しておいたゴルフクラブで殴りかかった。
グシャ、ゴキッ、ガシュッ、ガシ!
信二の手に不快感が伝わる。飛び散った鮮血が降りかかった。
「いやあああ!」
魅奈は目を背けて見ないようにする。
「ううう、くそっ、くそっ、くそお!」
グシャ! グシャ! グシャ!
目に涙が浮かんだ。
いくらゾンビとはいえ、元は自分と同じ普通の人間なのだ。信二はゾンビが完全に動かなくなるまでクラブで殴り続けた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」
極度の疲労と緊張、そして空気の簿さから、信二は大きく肩で呼吸をする。
「はあ、はあ、はあ」
「信二……先輩」
魅奈は呆然と、血まみれの信二を見つめていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
やがて魅奈は信二の胸に飛び込んで泣いた。
なぜか突然泣き出し、必死にあやまる魅奈を、信二は理解出来なかった。
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