ミッドナイト・スクール
……その時、ぐったりしていた魔女が起き上がった。
「くっ、生かして返すものか、死ね!」
魔女は最後の魔力を鎌に込めると、その鎌を信二に向けて放った。
魔力を帯びた巨大な鎌が、走る信二の後ろから迫って来る!
「信二! 危ねえええ!」
和哉の大声が聞こえた。
「信二先輩!」
鎌に気づいた魅奈が、信二を強く突き飛ばした。
ザシュッ! ガッ!
大鎌は魅奈をかすめて体育館の壁に突き刺さった。
二人はもつれ合って床に倒れ込んだ。
「あ、ありがとう、魅奈ちゃん……あっ!」
顔を上げた魅奈は一瞬ほほ笑んだが、直ぐに苦痛に顔を歪ませた。
「魅奈! 大丈夫かい?」
入口付近から冴子が走り寄って来た。
魅奈は脇腹を鎌で斬られており、大量に出血していた。
「大……丈夫です」
弱々しい笑みで答える魅奈。あまりに突然の事だったので、感覚が麻痩しているのだろう。
……魅奈は自分のとった行動に驚いていた。臆病で、今回の事件でも、ただ逃げ回るだけの自分が、迫り来る危険から咄嗟とはいえ、信二を救ったのだ。
少し遅れて和哉が入口にたどり着いた。
「魅奈ちゃん大丈夫か? 信二、魁奈ちゃんを食堂かどこか、静かな所へ運ぶんだ」
和哉が指示を出す。
「わ、わかった。でも、お前は……」
「俺は、ここで奴らをくい止める」
和哉はステージ側に向き直り、バットを構える。
見ると、前方から仕留めきれなかったゾンビ数匹がユラリユラリとやって来る。そして、なんと驚いた事に、その中にユリの姿もあった。
「冴子、信二たちを頼むぞ」
後ろ向きのまま、和哉は言った。
信二は魁奈を飽き抱えると、木製の内戸を出た。
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