もう1人のボク
「まあ今回は良いとして…。にしてもアレがオレの仕業だと思われているのは、よくないな」

「っ…!? 仕方無いだろ? 似てたんだから!」

頬に触れる手を、叩いて払った。

心を読まれたことの動揺を隠す為だ。

「間違えるなよ、陽日。オレはお前を万が一にでも傷付けることは、絶対にしない」

それでもボクは僕の顔を両手で包み、真面目な顔で眼を真っ直ぐに見つめる。

「分かってる…! 分かってるから…」

あまり真っ直ぐに見つめないでほしい…!

また昔のように、ボクを求めてしまいたくないから…。

「お前を傷付けようとしたヤツのこと、調べる」

「…ダメだ。お前は動いちゃいけない」

「そんなこと言っている場合か? 今回の騒動、オレを引っ張り出す為かもしれないんだぞ?」

「それはっ…!」

否定できない。僕も考えていたことだから。
< 27 / 55 >

この作品をシェア

pagetop