もう1人のボク
「周りにおだてられてなっただけだよ。陽日だって、頑張ればウチの学校に来れたんじゃない?」

「そっ…んなワケ、ないよ。確かに目指したことはあったけど、無理だって分かったし」

3年前には、確かに僕はこの学校を目指して頑張っていた。

ボクだったら、きっと余裕で合格したんだろうな。

僕と違って頭も良いし、要領が良いから…。

「そっかな? 俺、陽日って、特別だと思うよ?」

笑顔を浮かべながらも、遊間の目は真剣だ。

「そんなことないよ! 僕は普通の高校生だし」

…そう、僕は『普通』だ。

『特別』なのは、ボクの方なんだから…。

「遊間の方こそ、特別じゃない? すっごいカリスマ性持ってるし、優秀者だってウワサだよ?」
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