St. Valentine's Dayの奇跡
あたしは、その力強い腕に抱きしめられた。
「ナギサだ……」
呟くような小さな声が頭上から聞こえた。
「夢じゃないな」
その手に更に力が篭る。
忍の馬鹿力。
「シノブ、力出しすぎ、痛いよ」
さすがのあたしも、苦しくてギブアップ。
「あ、ごめん」
あたしは、少し緩んだ手の中から、そっと上を見上げて見た。
「シノブ?」
「あ、ごめん、俺ちょっと気持ちの整理がつかなくて」
上気して顔を赤らめ、困ったように力なく笑う忍。