青空探検

たからもの



今この時を、

「あぁ、楽しかったなぁ。」と

いつか懐かしむ日がくるんだろうか。



この青き日々を、

「あぁ、辛かったなぁ。」と

いつか思い出す日がくるんだろうか。





10代の感覚は、

繊細で

鋭敏で

そして澄んでいる。




なんにでもチャレンジできて

なんにでものめり込めて

なんにでも笑えて

すべてが輝いて見える。


だけど


どうしても変われなくて

どうしても怖くて

どうしても泣けてきて

すべてが霞みがかって見える。




何十年のうちのこの数年は、とてもとても大切で、一瞬のうちに過ぎてゆく。


そのことに本当に気付くのはいつなんだろうか。


大人になれば、失うものは多く、背負うものもたくさんだから。





なぜ、宇宙はこのかけがえのない日々を、生まれてから十数年という場所に設定したのだろう。


ちょっと早くて

でもきっと丁度いい。





この守られた庭の中

出会った人々は

ずっと愛しい存在で

過ごした時間はいとおしく

その空気さえもいとおしい。




別れはきっと悲しくて

巣立ちはきっと寂しいね。




だから

たからもの

目からこぼれる涙に包んだら、胸の奥にしまっておこう。



忘れないように。


忘れないように。



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