異常人 T橋和則物語
第一章

 七歳の知能しかない知恵遅れつるっハゲじじい和則が魔法によって美少女に変身。愛と感動のヒューマンドラマ。

  異常人 T橋和則


  首尾は上々の筈だった。不都合や問題など起こる訳なかった。これはセロン・カミュが天使になって出会ったなかで、もっとも甘い仕事であり、彼が自分の人生のなかであらゆる重要な要素がすべて含んでいた。
 合法にして危険ゼロ。何もヤバイことなんかなりはしない。それが、セロン・カミュが何度もいい聞かせた言葉であった。彼の仕事は鈴木宗吉衆議院議員を自殺か何かで地獄に送ることだった。「疑惑の総合商社」という鈴木宗吉議員は悪の限りを尽くし談合からの捻出金で贅沢三昧の生活を送っていて悪だった。丸い顔にハゲ頭、丸い体躯に訛り…こんな奴死刑で当然だ。セロンはそう思った。ちなみにセロンは日本語ペラペラだ。それは人間のときに生まれてから中学まで日本にいたからだ。もちれん映画も話せる。バイリンガルなのだ。「書類を持ってきましたよ」 
 セロンは一旦天国に戻り、調査員に書類を見せた。調査員は有頂天でしゃべり続ける彼を無視して書類にスタンプを押した。その後、初めてセロンを見た。
「弁論大会にでも出るつもりかね?」皮肉たっぷりの笑みで尋ねた。 
「いや、外れ。サッカーのワールドカップですよ」
 セロンは笑みを返した。まあ「鈴木宗吉暗殺計画は完璧だ」
「本当に完璧なの?」
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