《短編》聖なる夜に
『…つーか、クリスマスどーすんの?』


「…クリスマス?」



あたしと過ごしてくれるんだろうか?


てゆーか、またノープランなんだろうし。



『…イブの日、終業式じゃん?
それ終わってからのことだよ。』


考えを巡らせるあたしを横目に、エイジはパンを食べ終わり、あたしの肩を引き寄せた。


その瞬間、ビクッとしたまま、固まってしまう。


そんなあたしにお構いナシに、エイジは唇を当てる。


時々コイツは、キス魔なんじゃないかと思う。


だけど、そーゆー軽い気持ちなのがムカつく。



「ちょっ…やめてよ!!」


エイジの体を押しながら、声を上げた。


みるみるうちにエイジの顔は憮然としだし、怖くなったあたしの目は泳ぐ。



『…何?』


「それはこっちの台詞だよ!!
誰かに見られたら、どーすんの?!」


嫌でも早くなってしまう心臓の音を掻き消したくて、エイジに怒鳴り散らす。


だけどエイジはこちらを睨んだまま、言葉を紡ぐ。



『…じゃあ、ココに来なきゃいいじゃん。』


「―――ッ!」


瞬間、唇を噛み締めた。


全く、その通りだ。



「…どーせさぁ、こーゆーこと他の子とだってやってるんでしょ?」


こんなこと、何で言ってるんだろう。


だけど、言葉を飲み込めば泣いてしまいそうで。


エイジの顔なんて、見たくなくて。


「別に、あたしとだってクリスマス一緒に居る必要ないじゃん。
エイジは誘ってくれる子イッパイ居るんだし、その子達と過ごせば?」


吐き捨て、立ち上がって背を向けた。


握り締める拳が痛くて、だけど心の方がもっと痛かった。


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