鋭く甘い視線の先の獲物


「…はぁ……お前は……――」


「……っ……ぅ……あ、れ…」




色男の声を聞いているとほっとしたのか涙がとめどなく零れ落ちる。


泣くつもりなんてないのに…。
こんな事、どうって事なんかない筈なのに…。




「…悪ぃ……怖い思いしたのは、お前なんだよな……怒鳴ったりして悪かった」


「…ぅ……っ……」




男はタバコの火を消すと、包み込む様に私を抱きしめる。


謝る男に対して私は首を左右に振りながら泣き続けた。



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