あたらしい世界
6・Because you have me, not sad
「OK、お疲れ」


曲を吹き終えて、皆一様に大きく息を吐いた。


「練習したあとに、全曲ぶっ通しはキツイっすよ」
“レンシュウギライ” 班の練習だった。


ホルンの1年生。男気たっぷりの奈緒が言った。


「キツイか。ははは、キツイな。でも4曲で30分はもたないな……」


私たちの編成の曲は、花のワルツ、アメリカンパトロール、少年時代、そして恒樹くんのリクエストで、ビートルズのレットイットビー、の4曲だった。


「なんか一曲、考えとくわ」


「あまりキツくないのにしてください」


と、奈緒。


「あんまり早いのにしないでください」 


と、聖二。


「部長、ソロでやってください」


と、睦緒。


部長は数々の要望に失笑。

……昼間は、元気なんだから。


「部長、当日は立って演奏ですか?」


「暗譜ですか?」


「衣装は?」


「うーん」


毎年、演出は色々ある。
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