SleepingBeauti
彼女、みずきに会ったのは、高校三年の二学期の始めの頃だった。

当時、帰宅部だったぼくに、二学年したの子と知り合う機会など、一度もなかった。

夏休みに外出した記憶もない。

それでも、彼女、みずきは、ぼくの事を知っていた。

「白川先輩」

数人の女生徒に帰宅途中に呼びとめられた。

圧倒された。

圧倒されてしまい、頷くことも断ることもしなかった。

「いつでも別れますから、お願いします」勇気を振り絞るように言ったみずきは、緊張と、恥ずかしさで、体をふるわせていた。

「好きにすればいいよ」

この頃のぼくは、ただひねくれていた。

自分を憎み、親を嫌い、周囲を無視していた。

だから、みずきと関わっているなどと、思ってもいなかった。
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