SleepingBeauti
春になり、暖かな陽射しも増えてきた。

それでも冬の寒さを色濃く残しているのだけれど、季節がかわれば、感覚的に気分もかわってくるものだ。

だからなのかは、わからないが、のぞみの冬眠は、終わりを告げた。

そう働きだしたのだ。

しかも、あのコンビニでだ。

まさか無職だったことには驚いたが、もっと驚いたことは、のぞみの発言だった。

「優、生活費、いくらくらい渡したらいいかな」履歴を書きながらサラっと言った。

「…気持ち悪い」とぼくは小さな声で言う。

「えっ何?」と聞き返すのぞみ。

「気持ちだけでいい」とぼくは言い直す。

「具体的に言ってくれなきゃわからないよ」と質問するのぞみ。
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