渇望
「大丈夫か?
ごめんな、俺が連れてきたばっかりに。」


ジュンの言葉にも、首を横に振ることでしか意志を示せない。



「けどさ、あのままで良いわけ?」


「アンタ、あたしが何されてたか知ってんでしょ?!」


「…いや、そうだけど…」


迷いを帯びた呟きを聞きながら、



「怖いのよ、あたし。
戻ったら、またあの真っ暗な部屋に閉じ込められる。」


掘り起こされていく、過去。


中学の頃は、それでもまだ、マシだった。


けれども全てが壊れたのは、あたしが高校受験に失敗したからだったろう。


元々親の勧める超のつくような進学校になんて、入れるはずはなかった。


それに加えてプレッシャーからの体調不良で、当然のように満足いく結果は残せなかった。


それでも入学したのは、有名な学校だったのに。



「娘がこんな学校だなんて、恥ずかしい。」


お母さんは、何ひとつあたしを認めてはくれない。


次第に勉強することにも疲れ果て、だから特別進学クラスでは遅れていく。


遅れは焦りを生み、悪循環の中で苦しんだ。


何故お兄ちゃん達のようになれないのだろう、何故こんなことをしなくてはならないのだろう。


周りの子が恋におしゃれにと目を輝かせている中で、あたしは学校と塾と家の道のりばかり。


死んでしまいたかった。


胃の痛みが増していき、けれど孤独の中でそれに耐えるだけの日々。

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