渇望

雨音の行方

起きた時には完璧お昼も過ぎていて、今日が休みで良かったと、心底思った。


まぁ、あたしの休日なんて、前の日に突然言われたりするし、急な予約が入ればなくなったりと、とにかく適当なんだけど。


瑠衣はまだ、布団の中だ。


それを一瞥し、意味もなく携帯をいじっていた。


休みだからって特別予定もなく、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、寝起きの体に流し込んだ。


冷たいばかりのそれは、まだまとまらない脳を刺激する。


少し呆けていると、彼は起きてきたようで、あたしの手に持つ物は容易く奪われた。



「暇してんなら、出掛ける?」


瑠衣はミネラルウォーターを飲み、欠伸を混じらせながら、そう聞いてきた。


きょとんとしていると、彼は煙草を咥え、ソファーに腰を降ろしてしまう。



「…一緒に、ってこと?」


「まぁ、たまにはそういうのもアリかと思って。」


あたし達は今まで、本当にただ、一緒に眠るだけのようなものだったのに。


だから物珍しいことを言われたなと、思わず笑ってしまいそうになるが。



「けど、仕事あるんじゃない?」


「良いよ、別に。
面倒くせぇ時まで無理して働くもんじゃねぇし。」


「何それ、超自由じゃん。」


「だからぁ、俺は自由業なんだっつの。」


笑うと、彼も口元を緩めて見せる。


それから準備をし、ふたり、デートめいたものをすることとなったのだ。

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