かんのれあ
河野さんは、相変わらずの落ち着いた声で続けた。


「お久しぶりです。

えー…っと、かんのさん今日パーティーに来てたりします?」


「来てます!
河野さん、今どこですか!?」


「今会場のど真ん中なんでね、
ちょっと待ってて下さい、俺がそっち行きますんで」


あたしは、一階の自動販売機のあるロビーにいる事を告げ、電話を切った。



会場の真ん中に比べ、人がほとんどいないこの場所では、

向こうに現れた人影が河野さんという事を、すぐに認識できる。


それは河野さんも同じらしく、

顔が見えるか見えないかの所から、右手を軽く上げて挨拶をしてきた。
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