かんのれあ
「つか、あん時の事謝りたくてさ。

俺、あん時本当……どうかしてました。ごめんなさい。マジ、ごめんなさい」


「…………」


突然の事に、あたしは返事をするのも忘れる。


「まあ……、謝ってすぐに許してもらえることじゃないけど、

担当編集者として――これからはちゃんとサポートして精一杯ね、誠意を見せられたらって思ってますんで」


電話の向こうで、椅子が激しく音を立てたのが聞こえた。


多分、お辞儀をしたのだろう。


膝に手をついて、勢いよく頭を下げる姿が想像できる。


しかし、山崎さんには悪いけど、そんな事はどうでも良かった。
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