【短編】優しさなんていらないの



俺が今までしてきた事は……いけない事だったのかな。
俺が今までしてきた事は……柚未を悩ませていたのかな。


1番近くに、柚未の傍にいたのに。
どうして俺は気付いてあげられなかったんだろう。




ずっと悩んだ。
柚未には連絡もつかず。
俺を避けているのか、校内で柚未の姿を見る事がない。


柚未は……。
俺に愛想尽きちゃったのかな。


俺達……終わっちゃうのかな。


そう思った時だった。
俺の前に赤色のネクタイをした男が立ち止まった。


「……?」


キョトンとしていると、そいつは口を開いた。


「真山先輩……」


「え?」


何で……。
俺の名前知ってるんだろう。


そう思っていると、そいつは俺を見つめたまま言った。


「今日……柚未の目が腫れてました」


柚未……。
呼び捨てで柚未を呼ぶそいつに、俺はムッとした。


「だから?」


俺はそいつを睨みつけると、そいつは怯まずに口を開く。


「おれは……あいつを不安にさせたりしない」


あぁ……。
そうか、こいつも……柚未が好きなんだ。


「だから柚未を……譲れって?」


睨んだままそう言うと、そいつは俺を見てフッと笑い視線を逸らした。


「いや?柚未が俺を選んだらそういう事になりますけど」


何でこいつは……。
こんなに自信満々なんだろう。



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