元彼の末路
 店の外に出てから、人気のない公園を目指した。

 その間、ずっと浩平は泣いている。猫背の身体を震わせ、嗚咽を漏らし、その顔はやっぱりおてもやんに似ていた。

 凛花は浩平に対し、嫌悪感が復活していたので、別れることを考えている。それが浩平にも伝わったのだろう。


「俺を捨てるのか凛花? 俺は仕事出来ないんだ。凛花のことが気になって、仕事が手につかない。だから、凛花の側にいることが仕事なんだ。分かってくれないか」


 何を分かれと云うのだろうか。これじゃただのストーカーだ。職業がストーカーだなんて、理解出来るはずもない。

 凛花の嫌悪感はピークに達していた。


「無理よ。別れましょ」


 そう云った途端、再び浩平は大声で泣き叫んだ。


「嫌だぁ。嫌だよぉ。別れたくない。ひっく……ひっく」


 それは今まで聞いた中で一番大きな泣き声。
 気持ち悪い……。

 その時、凛花の頭に浮かんだ言葉は、泣き虫男……。

 凛花は浩平と二週間の恋人期間に終止符を打った。

 今までで最短の別れである。

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