元彼の末路
 本家の前に車を停めると、他の親戚達の車も数台停まっていた。


「じゃあ、入るか。親父も先に着いてるみたいだな」


 慎一郎は、父親の車が停まっているのを見てそう云う。


「何だか緊張するなぁ。慎一郎が云ってた伯母さんも怖いし」


「大丈夫だよ。さぁ、入ろう」


 こうして凛花は、慎一郎と共に本家の玄関前に立つ。
 ガラガラと音を立て、慎一郎が玄関を開けると、中年女性が小走りに現れた。


「あら、いらっしゃい。慎一郎さん、奥さん綺麗な方じゃない。さぁ、入って下さいな。
もう皆さん集まってますよ」


 その中年女性は着物姿で、とても物腰の柔らかい雰囲気で好感が持てた。

 小声で慎一郎に「誰?」と訊くと、慎一郎の伯母で、本家を継いだ人らしい。

 慎一郎の父親は六人兄弟で、今現れた伯母が長女。長男は亡くなり、その長男の嫁が口うるさい伯母さんらしい。後は次男、三男、四男、慎一郎の父親は末っ子の五男である。





 通された部屋の前に着き、扉を開けた凛花は凍りついた……。
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