【完】スマイリー☆症候群



「それじゃあ、失礼します。本当にごめんなさい」


私と亮介の顔を見てそう言うと、笑佳は清水と共に私達の前から立ち去っていった。


「はあ……。なんとか取り繕えたみたいね」


やっと緊張から解放された私は、例の鼻メガネを外しながら溜息をつく。


「ああ。この変装グッズのお陰で危機を免れた。あとで祥に礼を言わんとな」

「そうね」


何はともあれ、私達は祥さんのいたずらのお陰で、最悪の事態を免れられたのだ。

よかった。

心から、そう思った。


「次はもっと慎重にいこう」

「ええ、勿論。バレないように、且つ見失わないようにね」


同じ失敗は二度としない。そう決意を込める。

目を見合わせて、同時に頭を縦に振り頷く。


「行くわよ、亮介!」

「ああ」


私の掛け声に合わせて、私達はもう一度進み出した。


「ってかあんた、いつまでそれつけてる気?」

「この尾行が終わるまで、ずっとのつもりだが」

「あのさ、目立つから止めてって言ったでしょ!?」

「君はさっき、2人揃って同じ格好をしていたら目立つから駄目だと言った。だから、俺1人ならば――」

「はいはい」
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