【完】スマイリー☆症候群



『待って。私、殺そうなんてしてないです!』


『……それは本当に言っているのか?』


必死な彼女の弁解に、亮介は耳を傾けたようだった。


『本当です!』

『俺の心臓を狙っている、というのも』

『あなたのハートなら狙ってます』

『つまり、だな……』

『好きなんです、植木くんが』

『……』


一瞬にして、辺りは静けさに包まれる。

それも、風の音まではっきりと聞こえるくらいに。

そして、アイツはというと、固まったまま滝のような汗を流して立っていた。

しばらくして、彼女は口を開いた。


『それで、植木くんいつも犬塚さんと一緒にいるでしょ?』

『それがどうした』 

『だから、彼女のこと、どう思ってるのかなって』


“彼女のことどう思ってるのかなって”

声が心の中でリピートされる。

ちょっと待ってよ。

な、何で私ー!?

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