KISS ME !


寝起きはいつも最悪だ。

あの時に負った怪我が大分良くなったのに、あの時の記憶は一向にあたしのことを離してくれない。


あたしはゆっくりと目を開けて、真っ白な天井を見つめた。

ここに来てから何日たったのか、正直分からない。あんな大怪我がここまで回復しているんだから、それなりの時間はたっているとは思うけど。

決して出られることができない、と聞いているこの施設での生活にも慣れたし、特に不便は感じていない。


ただ、変わってしまったことは沢山ある。

例えば、そう。


あたしが人間でなくなったこととか。
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