ビタースイート・キス
「面白れぇ奴だな」

決して馬鹿にしてはいない、穏やかな笑みを浮かべた。




――束の間の静寂が訪れる。

「言いたい事は判った。でも、駄目なもんは駄目だ」

沈黙を破ったのは先生で、徐に自分の煙草を啣えると、

「火、寄越せ」

ライターを渡せ、とあたしに向かって手を差し出す。


「なんで駄目なの?」

あたしは手の中にあるライターを渡さぬまま、お返しと言わんばかりに問いを返して。

「軽い」と言われた最後の一本に熱を灯(とも)すと、“生徒”が納得できるよう“解”を“先生”に求めた。


「ガキだから、って理由以外で教えてよ。センセ?」
< 13 / 19 >

この作品をシェア

pagetop