ビタースイート・キス
「……それで最後にしろよ」

火を分け合うには長すぎる時間を経た頃、漸く後頭部を解放した先生が口を開く。


「……ん」

オンナ――だから、いつかは産むかもしれない。

先程の『駄目』の意味が判ってしまったあたしは、煙草を揉み消した。


「……産むなら先生の子がいいな」

今だけでも、いい。

先生があたしをオンナとして扱ってくれるなら、あたしもオンナとしての願望を伝えたい。


「卒業まで同じ思いでいたら、考えてやるよ」

ふ、と口許を緩ませた先生は腕時計を見遣り「そろそろ行くぞ」と言って腰を上げる。

その表情にはもう、さっきまで確かに存在したオトコの片鱗すらも見えない。
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