ビタースイート・キス
「没収すんぞ」

「……っ、」

ぽつり、呟かれた台詞に、あたしの心臓はまたしても大きく跳ねた。


没収するならさ、
あたしごと奪ってよ――…


声に出す事ない、あたしの想い。

嫌いな制服を着てまで嫌いな学校に通う理由は、先生が好きだから。
ただ、それだけ。


脱ぎ捨てたい制服は、高校生と言う肩書。

未成年なのに吸う煙草は、オトナへの憧憬(しょうけい)。


生徒と教師の枠を越え、ただ同じ場所に並びたいだけなのに。

生徒じゃなく、オンナとして見て欲しいだけなのに。

こっそり深呼吸をして、体内に酸素を送り込む。
< 7 / 19 >

この作品をシェア

pagetop