まほろば【古代編】
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中学三年のこの時期に、なぜこんな遠足があるのか甚だ疑問だった。

しかし、毎年の恒例ということで、私たちは学校からバスで2時間ほどの山の中に来ていた。

「この山って、初心者向けだよね……。それにしては、キツイと思わない?――って、遙(はるか)、なんであんたそんなに元気なのよ?」

クラスで一番仲の良い、菅原巴(すがわらともえ)は、息を切らしながらも私に話しかけるのを忘れない。

私は、この友人の問いかけに答えるのも億劫なほど、あることに心を奪われていた。

それは、この山を見たときから感じている焦燥感。

「えっ。あぁ、別に元気ってわけじゃないんだけど……」
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