まほろば【古代編】
ギュッとその存在を確かめるように、少年は手に力をこめると、そっと少女から離れた。

そのままくるりと踵を返して歩き始める。

もうそこには、言葉はなかった。

涙もなかった。

ただ、じっと残されたものは去り行く小さくも大きな背中を最後まで見続けた。


【まほろばの章・完】
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