まほろば【古代編】
「トヨのこと、頼んだぞ」

「うん。任せてよ。おいらだってアキ兄ちゃんに負けないほど、トヨ様のこと想ってるんだ。早く帰ってこないとしらないからな」

最後は少し茶化すような調子で、アオが少年らしい爽やかな笑顔を見せる。

アキは苦笑いしつつも、今度はトヨと向き合う。

「トヨ」

「ん」

アキは、目の前の小さな大切な女の子を腕の中に包み込む。

少女も少年の背中にそっと手を回す。

その状態のまま少年は言った。

「行って来ます」

少女もそっと答える。

「行ってらっしゃい」

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