まほろば【古代編】
そうこうするうちに、休憩地点に到着した。

「やったー、やっと休憩だよ。何?どうしたの?遙」

休憩地点に着くなり崩れるように座り込んだ巴が、ボーっと立ち尽くす私を見上げながら不思議そうな顔を向けてくる。

「う……ん」

例の気配はここからかなり近い。

休憩時間は15分。

本当は迷っている暇なんかないはずなのに、その一歩を踏み出せずにいた。

気持ちを決めかねるまま逡巡しているところに、担任の水木先生が近づいてきた。

「おっ、緒方。お前保健委員だったよな?

悪いが、具合が悪くなった生徒が出たから、ちょっと見ててくれないか?

少し離れたところに静かな木陰があったからそこに休ませてある。

じゃあ、先生は薬をもらってくるから、頼んだぞ」
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