女心と秋の空〜ツンデレ彼女の涙の秘密〜

「ほらっ立って! すぐに止むとは思うけど傘入っていきなよ」


そう言うと雪村はオレの手をとって立ち上がらせた。

雨は今も激しく降り続いて水しぶきを上げている。

けたたましい音にかき消されているけれど、オレ。

ありえねー早さで心臓がなってんだけど。


「……気付いてない、か」

「ん?」

「あ、いや、何でもない」


慌ててそっぽを向き、スルリと離れていった雪村の手に目をやる。

細くてちっこい手。

掴まれた手は微かに濡れていて、だけど温かくて……。


やべー。またドキドキしてきた。静まれ心臓っ!!

そんなこんなですました顔して内心焦りまくりのオレは、雪村と同じ傘に入って歩いていたわけだけど。

今更になって頭一つ分背の高いオレに、一生懸命手を伸ばして傘を差してくれている雪村に気付いたわけだ。

……こいつ、可愛い。

そんな感情が沸き起こる。


「オレが持つよ」


その言葉に笑顔を零した雪村から、傘を受け取り二人相合傘……って。相合傘?


あ、い、あ、い、がさーっ!?

って言うと、あの男女が仲良く寄り添って一つの傘に二人で入るという、あの相合傘ですかー!!

少し触れる肩にサラサラの髪、この密着した距離。

やっべぇー!!

意識してきた!!



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