白と青の境界線

そうして別れた後でも、例えどんなことがあったとしても、日常は何一つ変わらず訪れる。

一日の始まりは今日のフライトスケジュールの確認からで、鏡に映る曲がったスカーフを整えながら気持ちを切り替えて、背筋を凛と伸ばし緊張感をもって顔を引き締める。


「おはようございます」


作り笑顔で挨拶をしていく様は自分の心情を考えると滑稽で、だけどこれも仕事だと割り切れば何なくこなせる。

誰も気付かない。

気付かせたくなんかない。

笑顔の仮面を被っている私のことなんて。

そして、心に潜むこの塊の存在にも――。



< 3 / 60 >

この作品をシェア

pagetop