先生と王子様と演劇部な私。
「なぜ、コンクールで俺が王子に選ばれたか? 朗が調子に乗りすぎてたから、薬のつもりで俺を王子様にした。朗の態度が変われば、学園祭は朗にするつもりだった。違う?」


 由美ちゃんはそれを聞くと苦笑した。弱ったな、と一瞬口を閉じようとして、再度口を開いた。


「半分当たり。あの頃、そろそろ学園祭は別の演目、もしくは同じでも配役は別にした方がいいんじゃないかと話も出ていて。それの実験も兼ねてたのよ」


 由美ちゃんは、ふぅ、と息を整える。


「そしたら、佐々木くんは退部届けを出しちゃうしさ。石川先生も私も焦ったわよ」


 由美ちゃんが眉を下げて困ったように笑うと、朗先生は下を向いてしまった。朗先生が下向いちゃうなんて、ちょっと私には信じられない光景だけど。
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