先生と王子様と演劇部な私。
「そ、そういえば、何で練習してたこと知ってるの!?」


 なぜって?


「ずっと柚子を見てたから、分かんだよ。平と初めて会った日に、鞄の中に台本が二つあったのも見えたしな」


 俺が少し笑うと、柚子は額に手を当てながら、恥ずかしい……と呟いた。


「まぁ、俺は柚子のことを、演技で競演したいと思ってたわけじゃねーけど」


 そう言いながら、俺は柚子の額の手を取り、下にさげる。柚子はハテナの浮かんだ顔で俺を見上げてきた。


「シンデレラの物語の中で、王子様とシンデレラの結末は?」


 俺が優しく問いかけると、柚子が少し考えた後口にした。


「結婚して幸せに暮らしました……?」



「正解だ」


 それが俺の描いていた結末。


 俺はもう一度、柚子にキスをした。




おまけ-舞台の上で- End.
(2010/04/12 Up)
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